珍しくマジメにワインの話題
全州でワインを生産しているイタリアと違い フランスは地方によってはワインを生産していなくて ワイン産地は点在しています。
ブルゴーニュ とか ニュイ・ブランシュではほぼ活躍の場のない ボルドー が有名産地のツートップではないでしょうか。
昨日 登場したアヌシーがあるサヴォワもワイン産地の一つ。
個人的にはサヴォワのワインも大好きなのですが 残念ながら現在の日本では マイナー産地 とされてしまいます。
ただ フランスの東部でスイスに近いエリアですよ~ とザックリ伝えるとなんとなくはその位置がイメージできる人も多い。
そんな数あるフランスのワイン産地の中で最も厄介なものが シュッドゥ=ウェストゥ (Sud-Ouest) ではないでしょうか。
直訳すれば南西。
なのでフランスの南西部ってことになるんですが 南 という漢字が入っているけど いわゆる 南仏 ではない。
地中海からは離れているのです。
しかもシュッドゥ=ウェストゥという産地の中でさらに細かく原産地が点在していてシュッドゥ=ウェストゥだけではどのあたりか全く分からない。
ボルドーの東側や南側もあればラングドックに近いところもある。
バスクのイルレギという原産地もシュッドゥ=ウェストゥ。
シュッドゥ=ウェストゥという範囲はめちゃくちゃ広い。
そこにいくつもの " マイナー原産地 " が点在している。
カオールとかマディランなら聞いたことがある という人がいたとしてもビュゼにベアルン。
フロントンにコート・ドゥ・デュラス‥
って分かんないですよね?
ハバネロも時折確認しないと寄る年波とアル中ハイマーにより位置関係や栽培可能品種は忘れる一方となってしまいます。
そんなわけで今夜のおまけ画像はエリアン・ダ・ロスの2020年 アブリュー。
原産地はコート・デュ・マルマンデ。
位置的にはボルドーの南側。
貴腐ワインで有名なソーテルヌ地区や映画 『ステーキ・レボリューション』 でマニアックな人から注目を浴びたバザス牛で有名なバザスも結構近いマルマンドゥという街の近郊が栽培エリアとなります。
白 ロゼ 赤が生産可能で 赤ワインに関してはボルドーに接しているってのもあって栽培可能品種はカベルネ・ソーヴィニョンにカベルネ・フラン そしてメルローが多い。
さらに補助品種としてマルベック シラー ガメイにフェル。
そしてアブリューがあります。
そう アブリューはブドウ品種の名前です。
超マイナー品種だけど Abouriou という綴りだけに数多のワイン用葡萄の中でも 日本でいうところの五十音順的なアルファベット順ではトップだと思いきや 広辞苑並みに分厚い 『ワイン用葡萄品種大辞典』 ではイタリアのこれまた超マイナー品種の Abbuoto に次いで第2位(残念)。
ジャンシス・ロビンソンの 『ワイン用葡萄ガイド』 では1位なんですけどね。
ジャンシス・ロビンソンによれば 消滅しつつある葡萄品種。
ただ消滅はしないと思いますね 昔に比べて作付面積が激減したのが事実であっても。
現地には Avenue Abouriou なんて道もある。
直訳的には アブリュー大通り なんですが全くアヴェニュー感のない田舎道。
とはいえ昔は存在感がある葡萄だったことがうかがわれますよね。
グラスワインで提供したりしてますが このワインはなかなかよくできていますよ。
ナチュラルワインだけどキレイ。
マセラスィオン・カルボニックゆえか タンニンが少ない。
個人的にはもう少しタンニンがあった方がメリハリが効いて好きだけど。
たまにはこんなワインもいかがでしょうか。
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