さよならレオン・バラル。
今日はいきなりおまけ画像から。
レオン・バラルの1998年 フォジェール ヴァリニエール
(最後の1本の空き瓶)
初めてディディエ・バラルのワインを飲んだのは今から25年ちょい前 90年代後半くらいだと思います。
当時 銀座グットドールのマネージャーだった成瀬さんに教えてもらった造り手。
ジャック・セロスすら知らない人が大勢いた ワインといえば王道のブルゴーニュやボルドーが全盛だった時代に聞いたことないけど強烈な印象を与えるワインを多く扱っていたヴィノテカ・モモも教えてもらった。
いっぱい勉強させてもらいましたね 成瀬さんにもモモさんにも。
そんなわけでディディエがいきなり脚光を浴びた1994年ヴィンテージのレオン・バラルから飲んでいました。
その頃はスタンダードのフォジェールが正直もっさりしてイマイチに感じていました。
ヴァリニエールもジャディスもやたらと濃くてよく分からなかったけど 少しずつ造りが変化していて若い果実味ながらシラーの香りや果実味が開くようになった1997年のジャディスをすごく好きになった。
1998年ヴィンテージではいい意味でヴァリニエールにも綺麗な酸を感じるようになった。
ただ飲むにはもちろん若過ぎでしたが。
いい感じの成長曲線を描いていたレオン・バラルですが1999年ヴィンテージを境に激変。
かなりSO2を減らしだしたからでしょう 。
スタンダード・キュヴェは酷いレデュクションしててガスも凄かった。
ジャディスとヴァリニエールはこれ以降 醸造由来の酸が少し乗って若くてもジューシーな果実味にはなった。
1999年は問題ありなデキだったスタンダード・キュヴェも2000年以降 少SO2醸造にありがちな欠陥もなく非常に良くなり以前のようなもっさりした感じはなく これまた醸造由来の酸のおかげで若くてもジューシーな果実味のワインとなった。
でもどのキュヴェも似た味わいになってしまった。
ジャディスには以前のようなシラーらしさはなくなり ヴァリニエールからもムールヴェードル感がなくなり だったらスタンダード・キュヴェでいいよね ってなワインになった。
ま 多くの生産者が歩む道。
より少ないSO2。
そして SO2ゼロ へ。
生産者の信念でそうしてるなら尊重するしかないけど そういうワインだらけになってしまった今でもそれでいいのかな? と思う。
何も添加せずに醸してるのは凄いことだと思うけど 産地の個性も薄れるし葡萄品種の個性も感じられないんじゃね。
ま 確かにディディエのワインは汚染されてることはまずないから美味しくは飲めるけど…
基本 早飲みになっちゃった。
そういうワインもいいけどお店で出すより家飲み向き。
家飲みワインを店で提供しても意味がない。
そんなわけでずいぶん前から仕入れることもなくなったレオン・バラル。
ずっと取っておいた最後の1998年ヴァリニエールが先週末に炸裂!
素晴らしいワインでした。
まだまだ若さみなぎりパワー全開もムールヴェードル由来のスパイシーさは熟成により複雑に。
低SO2ワインが古くなった時のネガティヴな要素など微塵もない。
こういうワインが飲みたいし お客さんにも飲んで欲しい。
もちろん 長く寝かさなきゃ真価を伝えることはできないんだけど そういうワインに出会った時その人のワイン観が変わりますからね。
SO2なしで素晴らしいワインを世に出せる生産者はほんの一握り。
猫も杓子もゼロSO2でホントいいのかね?
だって熟成ってワインならではの楽しみなんだから。
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