コルスの思い出 アルツィプラトゥ 後編
コルシカ島のワインを店で提供すると結構な確率でシチリア島 つまりイタリアワインだと勘違いされます。
あとナポレオンが流された島ね とも言われますが コルスすなわちコルシカ島はイタリアではなくフランスの島です。
そしてナポレオンが流されたのは最初がエルバ島。
そのエルバ島を脱出し100日天下の後 大西洋に浮かぶ絶海の孤島 セント・ヘレナ島に流されました。
ナポレオンはコルシカ島生まれのフランス人。
ちなみにコロンブスもコルシカ島 しかもあの要塞都市カルヴィ出身と言われています。
昔 世界史で ジェノヴァ生まれの船乗りコロンブス なんて出てきたんでコルシカ島出身ってのは嘘だろ って思ったりもしましたが ナポレオンが生まれるちょっと前まではジェノヴァがコルシカ島を支配していたということから事実だと思われます。
話がいきなり逸れましたね。
コルシカ島のワインはどんな葡萄で造るのってのが今日のテーマでした。
赤はニエルッチオとチャカレロがツートップ状態でかなり離されてグルナッシュ。
冷涼な山岳地帯でピノ・ノワールを植えてる人もいるけど伝統的なスタイルじゃないよね それは。
ニエルッチオはニエルッキオ。
チャカレロはスキアケレッロとかシャカレロで日本では通ってますね。
まぁコルシカでもエリアによって微妙に発音や綴りが違いましたが まぁザックリそんな感じの発音ってことで。
で 白はだいたいヴェルモンティーノ。
ヴェルモンチュとか現地では言いますね。
それと北東部だとミュスカ・ア・プティ・グラン・ブラン。
まぁこれらがほとんど。
ただ意欲的な生産者は白だとビアンコ・ジョンティーユとか赤ならカルカジョッロ・ネロという古代希少品種を植えだしてますね。
アバトゥッチはその先駆けで素晴らしい古代品種キュヴェを造っています。
で アルツィプラトゥが造る AOP(昔で言うところもAOC)コルス・カルヴィ の規定はというと 厳密なことは日本語では分からなくて(ソムリエ協会の教本なら載ってるのかもしれませんが)INAOのサイトで確認。
コルス・カルヴィは白 ロゼ 赤とありますが たぶん時間がなくなるんで 今日のおまけ画像の関係で赤だけにしときましょう。
弱小語学力で日本語にするのがなかなか難しいのですが ニエルッチオとチャカレロとグルナッシュが主要品種でこれらが合計で50%を越えなければならないんだけど ニエルッチオとチャカレロの合計は最低でも33.3%以上が求められる。
つまりグルナッシュは使わなくてもいい ということ。
それから補助品種として‥
サンソー ムールヴェードゥル シラー バルバロッサが最大50%まで
カリニャン ヴェルモンティーノ(白葡萄だけど使える)が最大20%まで
アレアティコ カルカジョッロ・ネロ ミニュステッロが10%以下で
ブレンドできる となっている。
まぁグルナッシュは主要品種とされてはいるけど事実上 ニエルッチオとチャカレロが主体だと思いますけどね。
優良生産者を見ているとグルナッシュは使わないかニエルッチオとチャカレロの補助品種として使う程度のところが多いのでは。
で アルツィプラトゥはアレアティコやミニュステッロも植えているって現在のHPに書いてあるんですが 確かもっと多くの古代品種を実は植えていましたよ。
それはともかく まずはニエルッチオとチャカレロについて。
ニエルッチオはDNA鑑定でイタリアのサンジョヴェーゼだということが証明されています。
この事実自体はワイン業界の人なら大概 知っていると思います。
トスカーナのサンジョヴェーゼとは少し違いますが 色が濃くて重厚で引き締まった果実味と黒オリーヴをすり潰したようなタンニンが特徴かな(個人の見解です)。
対してチャカレロは色合いもやや淡く華やかな香りと柔らかい果実味で渋みも穏やか。
そんな印象がありますね。
カルカジョッロ・ネロはウ・スティリッチョヌも植えてましたね。
他にも増えてますね これを植える人は。
アレアティコもイタリアのレ・コステのアーレア・ヤクタ・エストでとても印象に残ってます。
何とも言えない いろいろな果物やお花をミックスしたようなアロマティックな品種です。
この造り手は個人的にはバクテリゼしたワインばかりで好きじゃないのですが なぜかアレアティコで醸すアーレア・ヤクタ・エストだけは素晴らしい。
あれをアレアティコのお手本だと思っています。
その昔 某有名ワイン専門家がアレアティコとギリシャの白品種アシルティコと混同してテレビのドキュメンタリー番組で語っていたのを偶然見て残念に思いましたね。
仮にハツィダキスのリィウ・ディ・ミロスを飲んだことがあればアシルティコのような偉大な品種と混同することはない気はしますが。
もちろんテレビ局の人はワインに詳しくないからその人がそう言うならそうなんだろうって思うんでしょうけど 雑誌のように事前に原稿のチェック的なものってないんでしょうかね? OA前に。
それは密着取材で海外で撮ったものだったから後で気づいてもどーしようもなかったのか それとも どーせみんな分からないだろうからこのままでいいや と思ったのか。
はたまた 弘法も筆のなんとやら ってことでしょうか???
まぁ僕はその方が弘法かどうかは知りませんけどね。
ただ高名なワイン専門家は大変ですよね。
例えばハバネロなんて自分で納得できるワイン以外は 圏外扱い ですが そういう人は全然美味しくもない大量生産型ワインでさえもさぞ美味しいかのような発信をしなきゃいけないわけですからねぇ。
もちろん それも彼らのお仕事(すなわち お金をもらって)ですが。
って また話が逸れましたね。
話を戻すと掴めてる葡萄がほとんどだけど 規定上許されてる超マイナーなバルバロッサとかミニュステッロってどんな葡萄??? と ハバネロも思うわけです。
まぁ単一品種のそれらを飲むことはまず経験できないでしょうが。
としたら文献で調べるしかない。
でもマイナー過ぎてなかなか触れられてる書物もない。
ジャンシス・ロビンソンのワイン用葡萄ガイドには少しだけバルバロッサに関する記述はあるのですが...
全くどんな個性かは分からないし ミニュステッロは載ってもいない。
ならば!と こないだの最新機器によるPCR検査費用 44.000円を上回る(涙)価格の重たい本をよっこらしょと開いて探す。
バルバロッサ‥載ってる。
が それでもよー分からん(苦笑い)。
DNA的に異なると思われる同名の葡萄がイタリアでいくつかの地域で極僅かに存在しているようだということしか分からない。
コルスのバルバロッサもブレンド用として栽培されている としか書いてない。
品種の個性は謎のまま。
ミニュステッロはというとスペインのリオハでかつては多く栽培されていたグラシアーノという葡萄のようです。
結実能力に乏しいため収量が少なく またベト病にも弱いってことで栽培が減り続けていたけど 香り高く酸を保てるがゆえ近年は見直されているようです。
おおっ これならスペインに行けば飲める可能性はあるね。
(まず行かないと思われますが...輸入されてれば日本でも飲めるか)
ただ産地が違うとまた微妙に味わいも異なったりするし ワインは誰が造ったか一番重要なんですが飲めるものなら飲んでみたいですね。
まぁでもこんなに調べものしたのは久しぶり。
夏休みの自由研究ってとこでしょうか。
今日のおまけ画像
アルツィプラトゥの2017年 コルス・カルヴィ ピュモンテ
昨日の画像でも分かる通り 卵型セメントタンクとかも使ってるんですよね このワイナリー。
樹の大樽も。
まぁコルスでもそういう造り手増えてましたね。
ワイナリーも新しく清潔でした。
日本に輸入されていたことを5月に知って結構買ったんですけどね。
6月にはインポーター完売...
リリースは3月だったみたいだからもっと早く知っていれば もっと買えたのに...
ただ まだこれ若いです。
取っておいてさらに美味しく飲める日を待ちたいと思います。
樹齢の古いチャカレロとニエルッチオ ミニュステッロ アレアティコのブレンド。
グルナッシュは使ってません。
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