一生勉強ってことですね。
シャサーニュ・モンラッシェ村の1級畑って難しいですよね。
何が難しいって…
文章で説明するのもまた難しいのですが‥
たとえば最大かつ最も有名だと思われる 1級畑モルジョ。
この畑は面積が58ヘクタール強あるわけですが 実際はなんと21もの1級畑から成るわけです。
そしてその21の区画は個別の1級畑名を名乗ってもいいし もしなんならモルジョと名乗っちゃってもいいですよ~ という1級畑なわけです。
さらに!
これまた有名な1級畑ブドゥリオット。
面積は15.5ヘクタール強。
こちらは大きな枠でのモルジョの範囲に含まれていてモルジョを名乗ってもどっちでもいい21の区画の一つ。
現在では多くの生産者はブドゥリオットを名乗るとは思うのですが この畑自体が6の1級畑から成りそれらはモルジョと名乗ってもブドゥリオットと名乗っても 個別の1級畑名を名乗ってもいいのです。
いろんなパターンがあってもう 分けわからん...
まぁこれは今と違ってワインが売れなかった時代に少しでもワインが売れるようにという施策だと思うんですけどね。
だって 仮にブドゥリオットともモルジョとも名乗れる1級畑 レ・プティット・フェロンドゥ に畑を所有し他の区画の葡萄と混ぜずに醸造した正真正銘のレ・プティット・フェロンドゥの葡萄でこしらえたワインだとしても 知名度のない レ・プティット・フェロンドゥ でリリースされることはなく十中八九モルジョにしていたと思います。かつては。
100歩譲ってブドゥリオットでしょうけど 有名な畑名の方が消費者的に あぁ この畑 知ってる~ となって売れやすい。
実際 1990年代半ばくらいまでは小さな区画ごとに醸造して単独の畑名ワインでリリースするって少なかった。
小さな1級畑が多いのに所有者がめちゃくちゃ細分化していたシャンボール・ミュズィニでは畑名を名乗れない いくつかの1級畑をブレンドした1級ワインが当たり前だったわけです。
それがワインが売れる時代になると激変します。
テロワール(葡萄の植わった区画ごとの土壌や地質の個性 そして地形や気候の特徴)を前面に押し出すためにも区画ごとの醸造が当たり前に。
小さな区画ごとの醸造の方が手間やコストはかかるけど そうしないとブルゴーニュの生産者はテロワールの優位性を語れない。
面倒だからごちゃまぜ醸造していた時代は遠い昔のこととなったのです。
そういう時代の背景もあり えっ? こんな1級畑あったんだ ってなワインに出会うことが増えました。
ただね。
その中でもシャサーニュは異質です。
説明した通り 二次区画 三次区画 的な難しさ。
畑名のない1級畑ワインが多かったシャンボール・ミュズィニにしても それでもちゃんと1級畑を名乗っていたものはあったし そういものに出会い飲んで経験し畑の位置を確認してきた。
何度も何度も。
シャンボール・ミュズィニ村における二次区画的なものって フスロット と レ・グラン・ミュール の2区画から成る フスロット の畑だけ。
フスロットは超有名畑だけど実際に レ・グラン・ミュールを名乗る1級ワインは存在してる。
でも例外はこれだけ。
分かりやすい。
そう コート・ドゥ・ニュイはだいたいそうなんです。
ジュヴレ・シャンベルタンやモレ・サン・ドゥニにおいては二次区画的なものを持つ1級畑はゼロ。
唯一の例外を大手が単独所有しているヴージョも事実上ない。
ヴォーヌ・ロマネやニュイ・サン・ジョルジュは少しあるんだけど分かりやすい。
レ・ボー・モンが4の二次区画を持っていてもその全てが なんちゃらボー・モン か ボー・モンなんちゃら。
ブリュレもそう。
これならすぐ分かる。
ニュイ・サン・ジョルジュはレ・ポワレやレ・プリュリエが少し厄介だけど どちらも二次区画は二つしかない。
しかも 美味しいかどうかは別としてこの村の超名門のアンリ・グージュやロベール・アルヌー あとはロベール・ジャイエ=ジルなんかが昔からそれらの1級畑のワインをリリースしてたから叩き込まれてるわけです。
それに対してシャサーニュ・モンラッシェとなると...
このフォンテーヌ=ガニャールの2009年 シャサーニュ・モンラッシェ 1級 クロ・デ・ミュレも昔はクロ・サン・ジャンにしてたと思うんですけどね。
とにかく コート・ドゥ・ニュイと比べるとコート・ドゥ・ボーヌは二次区画を持つ1級畑が結構あるしメインとなる区画と似ていない名前の区画ばかりでなかなか厄介です。
昔からリリースされてたら知ってると思いますが 実際そうでもないんでね。
こんだけワイン飲んできたのにブルゴーニュの地図開いてなお且つどこの二次区画かとか確認しなきゃなんない。
ま 人生 生きてる限り勉強なんでいいんですけどね。
その最たる例がシャサーニュ・モンラッシェ村の1級畑という無駄長ブログでした。
肝心のワインはといえば‥
この生産者自体はいい意味で尖がってない。
流行に乗ったイケイケな造りをしたはいいがリリースから数年で哀れな姿へと激変しちゃうようなワインじゃない。
無駄に攻めの醸造もしない分 程良くこなれるといい意味で昔ながらのブルゴーニュの素晴らしさを感じられるワインです。
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